当たり前のことだと漠然と考えていることを改めて問われるとき、その問いに戸惑いを感じることはないだろうか。「人間とは何か」ということも、そうした問いの一つであろう。もちろんこの問いを深く考えないとしても、日常生活には何ら支障はない。しかし、看護や介護や教育などの現場で人間と密にかかわる者にとって、この問題は、一度は真剣に取り組むべき課題ではないだろうか。本講義では、西洋哲学の思索を手がかりにしつつ「人間とは何か」という問題を徹底的に掘り下げてみたい。