哲学とは、批判的思考(クリティカル・シンキング)を用い、目の前の問題について「本当にこの答えは正しいのか」ということを粘り強く考え続ける学問である。また、この批判的思考は、哲学という学問を超え、日常においても別領域の学問においても重要なものとなる。
(i)疑似科学・陰謀論・フェイクニュースといった「間違った情報」を見抜く際に大きな役割を果たす
(ii)哲学以外の学問を営む際にも基礎となる思考法である
本講義では、テーマを「精神医学の哲学」に設定し、精神医学に関わる諸問題が現代の哲学においてどのように扱われ、批判的思考を用いながら論じられてきたのかを概説する。なお、現代精神医学と現代存在論の基礎知識も授業内で扱うため、精神医学および現代存在論についての予備知識は不要である。